建築論の探究と建築設計の実践 -地球環境時代の都市・建築論の構築を目指す-
建築論とは、「良い建築」とは何かを根本的に問う学問です。 研究室では研究活動と建築設計を通して、理論と実践による建築論の構築を目指します。
具体的には、20世紀初頭の英才たちである分離派建築会の解明といった建築論や、 都市論・風景論を研究しています。一方で京都市東九条地区にて、調査を通じた建築・都市の設計提案をしています。また国際的な側面が強い研究室です。数多くの留学生らが在籍しています。
近代以来の価値観や社会システムを見直しが求められている時代において、 研究と設計を通じて、人類学的なパースペクティヴで都市や建築のあり方を再考します。
田路 貴浩 | 教授
研究目標:「地球環境時代の都市・建築論の構築」
地球環境が危機的局面に向かいつつある今日、人類は近代以来の価値観や社会システムの見直しが迫られています。建築は自然に対抗して人間の居住環境を構築する技術ですが、同時に自然に近づくための芸術でもあります。建築と自然のこのアンビバレントな関係から、未来の人間の住まい方を展望する建築論・都市論を切り拓くことをめざしています。
教育目標:「博士号をもつ建築家の養成」
近年、短期的な実践的研究が奨励される傾向が強まっていて、建築の歴史観や哲学の探究が衰退しつつあると危惧しています。しかし、こんにちの日本の建築文化の高い水準は先立つ建築家、研究者の深くて広い学識によって築き上げられたものです。こうした建築文化の伝統を継承し発展させるために、自分の思想をもってきちんと研究でき、かつ設計もできる人材を育成することを目標としています。
建築設計:研究室では研究をメインに行っていますが、建築設計はアタッチメントという学外の設計事務所で行っています。歴史的なコンテクストが色濃い関西で、伝統や景観、コミュニティなどを「引きずるデザイン drag design」ということを考えています。
早川 小百合 | 助教
1992年愛知県生まれ。愛知県立岡崎高等学校卒業。医師の父・芸術と園芸が好きな母に育てられた結果、高校生の頃に、数学的な美しさと理論では説明しきれない感覚的な造形美を併せ持ち得る建築学に興味を持ち、建築学科進学を決意。4回生時は林・大西研究室で五重塔の耐震性にかんする研究を行う。修士では田路研究室にて、母の影響で植物好きというきっかけから、自然環境と都市の関係が背景に見られる、ル・コルビュジエの初期の都市理論を研究し始める。修士終了後は一般財団法人にて文化財建造物の保全業務に従事。2021年10月から現職。後世に残るべき建築物の維持保全のために作品・建築家の適切な評価に努めたい。趣味は高校の部活で始めたオーボエ、寺社巡り、映画鑑賞、夫との散歩。
【所在】615-8150 京都府京都市西京区京都大学桂 桂キャンパス C2棟 2階 210号室
【連絡先】075-383-2910
【URL】https://tajilab-kyoto.jimdo.com/
【構成】
2018年度:学部生2名、修士5名(うち中国人留学生1名、台湾人留学生1名)、博士4名(うち台湾人留学生1名)、留学生5名(フランス4名、ウルグアイ1名)
2021年度:学部生3名、修士8名(うち中国人留学生2名)、博士4名(うち中国人留学生1名、社会人博士1名)、研究生1名(中国人留学生1名)
【主な進路】
ヒューリック、鹿島建設、清水建設、日建設計 など