Open Campus 2018の様子を大公開!

2018年8月10日、京都大学オープンキャンパスが行われました。建築学科では先生方による模擬講義や模擬演習と学生による設計課題の紹介や座談会を開催しました。その模様を詳しくお伝えしていきます。

実際の授業を体験する

柳沢先生による講義の様子


模擬講義では計画系、構造系、環境系の先生方がご自身の専門分野について解説しました。

計画系の柳沢先生(居住空間学)は建築物が街並みを形成することに触れ,様々な国の街並みを映したスライドを交えて建築計画の観点から建築についての講義を行いました。

環境系の石田先生(人間生活環境学)は蛍光灯などの機械設備を用いることなく自然光を室内に取り入れて快適な環境を実現するための設計手法を紹介されました。

構造系からは大崎先生(建築構造学)が超高層や大空間構造を含む様々な構造形式や建築材料の観点から「建築を支える仕組みとしての構造」について,林先生(建築保全再生学)が建物の構造に求められる性能に関して設計の際に考慮すべき荷重について解説されました。

装置を用いた実験を見学する

模擬演習では聲高先生(空間構造開発工学)が建築と構造がどのように設計されるかについての説明を,パスタで作ったトラスの載荷実験を用いて行いました。試験結果を基に力の流れを説明しました。 高校生は力の流れを体感できたのではないでしょうか。 

パスタで作ったトラスに力を加える

仁井先生(都市空間工学)の演習では模型に煙を流しレーザーを当てる装置を用いた実験が行われ,空気などの気体の粘性による流れの形の違いについての概説がなされました。この装置は通常は見えない建物内の空気の移動や火事の煙の流れを可視化させることができるもので,建物の通風や換気の設計に役立ちます。

煙にレーザーを当てて可視化する

西山先生(建築構法学)の演習では身の回りの建物の構造(木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造)などについての講義が行われ,同じ体積あたりの3種類の材料の強度を調べる載荷実験が行われました。この装置は材料に徐々に荷重を加えていき,破壊点のデータを取り材料の強度を測るものです。

異なる材料に荷重をかけて強度を測る

先輩による作品紹介を聞く

学部生による作品紹介

3,4回生が自分の課題について高校生に向けて発表をしました。自分が課題に対してどのような考えで進めていったのか,図面と模型を使ってプレゼンテーションを行いました。

「こんな建築があればいいなというものを作った。」

「まず課題の条件として与えられた敷地を見に行くと,その場所に憩いの場所がないことに気づいた。なので、私は人が足を止めて休める空間を作ることに決めた。」

「僕は建築学科に入学する前,文学部とも迷った。その分野にも興味があったから建築を通してそれを具現化しようと思った。」

などと,設計プロセスを高校生に紹介しました。

現役大学院生と交流する

大学院生との交流会

大学院生による相談会も開催しました。Q&Aをいくつかご紹介します。多くの高校生が似たような不安を抱えているのではないでしょうか。

  • 建築学科を受けるというのは決めているのですが大学をどこにするか迷っています。
    京大ならでは特徴を教えてください。

一番多かった質問ですね。確かに気になる事ですが他の大学をよく知らないので,個人的な意見になります。

京大では入学当初から1人1台製図室が与えられ,製図室が24時間開くということを入学初日に先生方が自信ありげにおっしゃいます。これは学生にとってはとても重要なことで,いつでも製図室が使えることで自分のスケジュールを自由に立てることができます。実際バイトを終えて深夜0時頃から製図室に来る人も少なくないですね。

空きコマの1,2時間でも京都の寺巡りができることも魅力です。京大の近くには銀閣寺や平安神宮など有名な寺がたくさんあります。生で建築を見て勉強しなさいと先生からよく言われるのでみんな自分の自転車で京都内にある建築文化財をよく見に行きます。

総合大学なので,サークルや部活の他の学科の友達から独特な研究内容が聞けることは貴重だと思います。
農学部の友達に野菜・果物のおすそ分けをもらったのはとてもありがたかったですし,理学部の実験の話もとても面白いです。

  • 絵が得意じゃないのですが大丈夫ですか。

次に多かった質問がこれです。(汗 うまく答えられませんが、、、がんばれば多分うまくなります! 得意でないという人はパソコンでCGを作成したり,模型をかなり細部まで作ったりしています。色んな表現手段があるので大丈夫ですよ。

  • どんな研究がありますか。

研究をするのは4回生になって研究室配属されてからなので,1-3回生で授業であらゆる分野を一通り習い,自分の興味ある研究室を3回生の終わりに選択します。研究室は大きく計画系,構造系,環境系の3つの系列があり,その中でも細かく専門の分野に分かれています。研究内容はおのおの違いますが,例えば計画系では実際に海外の大聖堂を訪ね,その図面を当時の時代背景と照らし合わせながら読み解いたり,環境系では熱と水分の移動に伴う建築材料の劣化を調査したり,構造系では桂キャンパス地下にある大きな実験棟で取ったデータを分析したりと本当に多岐にわたると思います。

  • どんなところに下宿していますか。

学部のときは吉田キャンパスから自転車で10分以内のところに下宿している人が多いですね。近くないと行かなくなっちゃう傾向があるのでね。

この記事の研究室

原田・仁井研究室

都市空間の環境と火災安全を様々な角度から考える。

柳沢研究室

フィールドを通じた研究・実践から、固有性と多様性を備えた豊かな居住をめざす

石田研究室

視覚を通した人間と環境の関わりを探究し,人間に相応しい視環境のあり方を問う。

西山・谷研究室

人々の安全と財産を守り、快適な空間を長期間にわたって提供する。

杉野研究室

持続可能な地域形成に不可欠な建物の設計法と保全再生技術の構築。

大﨑・張研究室

理論とコンピュータ技術で高性能な建築物の形状生成・設計法を探求する。

聲高・稲益研究室

鋼材の特性を最大限に活かした空間構造の研究と開発。