2022年7月23日(土)、「VERTICAL REVIEW 03」が開催されました。
「VERTICAL REVIEW(ヴァーティカルレビュー・VR)」は、京都大学建築学科での設計演習の作品から優秀なものを選抜して行う講評会です。著名な建築家をゲストクリティーク(講評者)として招き、各学年の作品を一度に講評します。昨年から半期に一度開催され、今回が3回目となります。
今回のゲストクリティークは、Alexander Eriksson Furunes氏、 Sudarshan Khadka氏、魚谷繁礼氏、大西麻貴氏、畑友洋氏、平野利樹氏、森田昌宏氏、山田紗子氏でした。また、門脇耕三氏、木内俊克氏も飛び入り参加くださいました。京都大学の常勤教員からは平田晃久先生、岩瀬諒子先生、小見山陽介先生、トーマス・ダニエル先生が講評に参加されました。
VRに先立ち、エリクソン・フルネス氏とカドカ氏の特別講演が行われました。お2人は昨年のヴェネチア・ビエンナーレでフィリピン館のキュレーターを務めた建築家です。フィリピン館は図書館やコミュニティセンターを提案していましたが、その検討段階における住民の参加の仕方が特徴的でした。
まずフィリピンの伝統的な助け合いの慣習である「バヤニハン」について理解を深め、そもそも何を作るかといった機能の段階から住民と共同で検討したそうです。アイスクリームの棒を使った模型が印象的でした。
特別講演の様子はこちらで公開されています。
それでは、各作品を課題ごとに紹介します。
■1回生前期前半
実在の建築作品を題材としてドローイング(製図)の技法を習得しました。
■1回生前期後半
今年度から平野利樹氏が非常勤講師に着任し新しい課題となりました。3Dスキャン、3Dモデリング、レンダリングなどデジタルテクノロジーを使い、建築表現の可能性を探求しました。
■2回生前期前半「Pavilion」
用途を取り去った元初的な建築「パヴィリオン」を設計しました。
■2回生前期後半「2032年の家」
昨年度から山田紗子氏が非常勤講師に着任し、本年度からは新しい課題となりました。10年後の生活について構想し、吉田本町の角地に住宅を設計しました。
■3回生前期前半「現代のヴンターカンマー:京都大学総合博物館建て替え計画 」
ヴンターカンマー(驚異の部屋)とは、18世紀までヨーロッパで流行した、珍しいものを集めた陳列室です。「現代のヴンターカンマー」をテーマに京都大学総合博物館を建て替える計画を提案しました。
■3回生前期後半「未来の自由な学びの場:小学校を発酵させる 」
典型的な小学校を「発酵」させていき、より自由な学びのための場所を設計しました。
■4回生前期 スタジオ課題
4回生はスタジオ(≒研究室)ごとに異なる課題に取り組みました。
各作品の講評ののち、ゲストクリティークの先生方からは個人賞が贈られました。
アレクサンダー・エリクソン・フルネス賞 関口 知輝 『編む』
スダルシャン・カドカ賞 樋田 蓮 『いろんなコトが できるトコ』
魚谷繁礼賞 大竹 平 『繕いの解体新処』
畑友洋賞 若井 咲樹 『建築〈イノチ〉燃ゆ』
平野利樹賞 長村 侑紀 『ひきこもり』
森田昌宏賞 水崎 恒志 『塔は収束する』
山田紗子賞 上田 瑛藍 『浮遊界面』
門脇耕三賞 上和田 静 『WONDER LABOR』
木内俊克賞 長竹 璃子 『Travel』
先生方による京大の設計教育についての議論も弾みました。YouTubeライブのアーカイブもご覧ください。
以上、7月23日に行われたVERTICAL REVIEWのレポートでした。
(写真撮影:佐藤夏綾、西田造、興梠卓人)