和歌山の小学校に出前授業 〜漁村地区の小学生たちと“防災”について考える〜

牧研究室では和歌山県由良町衣奈地区を研究対象地としてこの地区の事前復興について調査しています。その活動の一環として、毎年、衣奈小学校の小学生に“防災”について考えてもらう授業を行っています。ここではその活動の概要を紹介します。

漁村地区の衣奈小学校、全校生徒はたったの25人!?

和歌山県由良町衣奈は紀州水道に面する小さな漁村地区です。その地区にある衣奈小学校は、全校生徒25人の小さな小学校です。衣奈地区は、今後発生が懸念される南海トラフ地震において、甚大な津波被害が予想されています。2011年に発生した東日本大震災では、津波に逃げ遅れた多くの小学生らが犠牲となり、小さな子どもでも日ごろから防災について関心を持っておくことは非常に重要です。牧研究室の出前授業では、小学生に“防災”について関心を持ってもらうとともに、災害時における“自分の命を守る行動”をとれるようになるという目的で行っています。

衣奈の危険探し、どこに逃げたらいいだろう?

授業では4つのグループに分かれ、それぞれ、土砂災害、津波、地震、ため池についてテーマを設けました。土砂災害班では、土砂崩れが起きるメカニズムについて模型を使って分かりやすく説明するとともに、実際に大雨が降ったら衣奈のどの場所が危険になりそうか、地図に書き込み、話し合いました。津波班では、津波浸水区域マップを使いながら、津波が起きてからの避難について、地震班では、地震で崩れそうな家、塀、木や電柱について、ため池班では、ため池が決壊した際の浸水エリアについて考えました。それぞれ危険予測をした後は、各班で話し合った内容を発表し、それに対し、災害が起きた際の行動や避難ルートについてレクチャーしました。

ため池決壊の際の氾濫域のまとめ

小学生に分かりやすく教えることの難しさ

出前授業は今回で3回目となりますが、毎回小学生に浸水や決壊といった難しい言葉を使わずに防災について分かりやすく教えるにはどうしたらいいか試行錯誤しています。実際に起きてからのことをイメージするのは大変で、ここに防災の難しさがあると思います。

津波による浸水域の説明をしている様子

この記事の研究室

牧研究室

災害から地域をどのように再建するのか、災害にどのように備えるのか。