京大建築式を支える学生ライターとは!?

京大建築式のHPが開設されて3か月,これまでに数多くの記事が公開されてきましたが,これらは京大建築の学生が「学生ライター」として書いてくれた記事です.彼らはどんな学生生活を送りつつ,学生ライターとしてどのような活動をしてきたのでしょうか.学生ライター活動の楽しさや苦労話をインタビューしました!

皆さんがご覧になっている京大建築式のHPには,学生が「学生ライター」として作成した記事が数多く掲載されています.彼らはみな京都大学大学院に所属する大学院生で,2018年度はもうすぐ卒業する修士2回生2人と今からまさに忙しくなる修士1回生3人の5人で活動していました.今回は,京大建築式HP立ち上げから協力し,数多くの記事を作成してくれた第1世代の学生ライターたちに焦点を当てて,学生生活の様子や学生ライターの活動についてインタビューしました!

浜辺亮太さん:松島研究室所属の修士2回生.卒業までの1か月は修理したバイクに乗って京都の寺社巡りをしてのんびり過ごす予定だそうです.
稲本佳奈さん:小椋・伊庭研究室所属の修士2回生.卒業までの1か月は海外旅行に行きつつも,研究のデータ整理など公私ともに多忙な日々を過ごす予定だそうです.
稲田浩也さん:三浦研究室所属の修士1回生.春休みは時間があるそうなので,1級建築士試験にむけての勉強など,いろいろなことに挑戦しようと思っているそうです.
西村奏香さん:小椋研究室所属の修士1回生.学生で時間の融通がきく間に,就職している友達に会いに行くなど旅行を計画中だそうです.
鈴木保澄さん:三浦研究室所属の修士1回生.春休みは忙しくなるそうで,直近は就職活動などいろいろ忙しくなるそうです.

皆さんはどんな学生生活を送ってきましたか?
浜辺亮太さん

− まずは,皆さんの京大建築での学生生活についてお尋ねしたいと思います.これまでの学部生・院生生活で楽しかったことや大変だったことなど印象に残っていることを教えてください.

浜辺さん− やはり製図の授業が大変でした.僕は建築を見るのは好きなんですが作る方はさほどなんです.なので製図の課題提出前に夜を徹して頑張ったのはすごく大変でしたが,楽しくもあったと思います.
大学院に進学してからは,去年の8月末に1週間ほど僕の研究で使用するシミュレーション手法を学ぶためにフランスに行きました.フランスで勉強しつつ,休みの土日は近くの街に遊びに行ったりもできたので,それが僕としてはいい経験ができたと思います.

稲田さんー 僕は4回生で構造系に進んで卒業論文も書きつつ卒業設計もやったことが一番大変で,それに尽きます(詳しくはこちら).学部生の記憶は今となってはそれが全てです.
大学院に入ってからは将来何をしようかをよく考えるようになりました.色々興味が湧いたことに手を出したりしてます.

稲本さんー 私も製図は大変でしたが,学部生の間に入っていた少林寺拳法の部活の方が楽しくもあり大変だったと記憶しています.製図に関しては,自分のなかで考えていることを形にできたときは楽しかったんですが,形にできなかったときは辛かったですね.
大学院に進学してからは,エネマネハウスの研究(詳しくはこちら)に携われたので,外部の人や他大学の人と交流できたのがすごい楽しかったです.

西村さんー 私も学部生のときは部活中心の生活でした.マネージャーとして野球部に入っていたのですが,学科の課題提出前は部活が終わってから製図室に行って課題をこなすような生活でした.4回生で配属された研究室の指導教員の先生が部活動にすごい理解を示してくれていたので,卒業論文は部活卒業から本格的に頑張りました.
大学院に入ってからは,部活を完全に引退したこともあって時間ができたので,海外旅行に行ったりもしています.あとは,研究関連でやりたいこととやるべきことをこなしていくといった生活を送っています.

鈴木:学部生のときで一番大変だったのは製図の課題,とくに卒業設計だと思います.製図室で夜を徹しながら作業するのは大変でしたが,一方で楽しくもありました.卒業設計以前の製図の課題をこなしている頃,サークルも結構行っていたので,サークルに行くことが楽しかったです.
大学院に入ってからは,所属する研究室の教授が高齢者施設の見学など色々なことに誘ってくれる方で驚いています.学部生で設計をやっているときは架空のものを考えていましたが,今では建物を見たり使っている人の話を聞いたりしたので,実際のものにも目を向けるようになりました(関連記事はこちら).

大学に入る前と入った後でギャップはありますか? 
稲本佳奈さん

ー 学生ライターのお話をお聞きする前に,記憶を大きく遡っていただいて,京都大学への合格に向けて受験を頑張っている頃の話を聞きたいと思います.受験生のときに抱いていた大学生生活と合格後実際に大学生になって感じたことに違いがあれば教えてください.

浜辺さんー 学生生活はキラキラしたものを想像していたので,製図の課題提出前の自分や同級生の様子を見ると,面白くもあり「あぁ大学生生活はこういう感じなのか」と思いました.
院生生活は,学部生のときに思っていた以上に研究で忙しかったです.学部生で製図の課題がなくなった3回生の頃と比べると,大学院では遊べる時間が減ったと感じています.

稲本さんー 大学に入学するまでは建築の構造分野や環境分野のことは全然知らなかったので,自分が環境系に進むとは思っていませんでした.高校生の頃はパソコンに全然強くなかったんですが,工学部にいるとパソコンやプログラミングの知識がついて楽しく学べたので,学びは多かったなと思います.あと,大学の体育会系の部活はすごく大変で初心者はだめだと思っていたんですが,初心者を歓迎している部活もあって,魅力を感じて入部したのも思っていたこととの違いですね.

稲田さんー 大学生や大学院生になると自分が変わると思っていました.入ってすぐ自分が勝手に変わるわけではないとは思うのですが,昔からあんまり変わってないなと今も感じてます.自分でいろいろやらないと何も変わらないんだと思いました.

西村さんー 学生としての生活に関してではないのですが,大学に入る前は京大入学後に京都を満喫しようと思っていました.でも,いざ京都に住み始めると逆に足が向かなくなってしまってます.
院生生活は部活もなく完全フリーな学生生活をイメージしていました.ただ,直接的な時間の制約は無くても研究を進めていかなきゃだめで,頭の片隅にいつも研究の事があるというのが当初のイメージと違いました.

鈴木さんー 学部・院を通しての話なんですが,稲田くんと違って私は大学に入って変わったと思ってます.高校は共学だったんですが仲のいい女友達としか喋りませんでした.ただ,大学に入ってからはサークルとかを含めて男女関係なく色んな人と関わる機会が増えて,その中でいろいろな経験をしたと思います.

学生ライターの仕事をしてみて感じたことは? 
稲田浩也さん

ー それでは,学生ライターの活動についてお聞きしたいと思います.まずは皆さん1年間お疲れ様でした.学生ライターへの参加を決めていただいていから記事作成など様々な仕事があったと思います.その中で楽しかったことや大変だったことを聞いていこうと思います.
学生ライターの仕事をざっくりとまとめると
  [1]記事にするネタを探す
  [2]記事作成のために取材に行き資料を収集する
  [3]記事を作成する
の3工程だと思います.皆さんは学生ライターのどういったことが大変でしたか?そして逆に楽しかったことはありますか?

浜辺さんー 多くの人が[2]を選ぶと思いますが,僕は取材とかが少なかったこともあって[3]が大変だったかなと思います.論文とかを書くときは専門的な知識を持った人向けに書きますが,学生ライターの記事ではどちらかというと専門的な知識を持たない人向けに書くことになるので,どこまで噛み砕くいて記事を書くかが難しかったです.あとは,記事に掲載する写真のキャプションなど,普段雑誌などの記事を読むときに気にしないところを注意するなど,僕にとって新鮮な点でもあり大変なところでもありました.
ただ,学生ライターをやらなければ他の学生ライターと関わることもなかったので,こうして集まって色々話をするのは楽しかったです.そして,普段の生活では関わらなかったであろう事に取り組めたことはよかったと思います.

稲本さんー 私も[3]が圧倒的に大変でした.やはり記事を書く時に専門知識を分かりやすくかみ砕いたりといった表現方法がなかなか分からず難しかったです.あとは,自分で書いた後に見直してあまり面白くないなぁと思ってしまって,記事作成にすごく時間がかかってしまったりしました.
大学のオープンキャンパスの記事(詳しくはこちら)や留学生インタビューの記事(詳しくはこちら)を書いたんですが,それをきっかけに知り合えた人がいたので楽しかったです.

稲田さんー 僕は取材系の記事が多かったので[2]が大変でした.取材にかかわる人の時間調整や提供してもらう情報の内容や分量の調整が難しかったです.あとは自分の予想外のことが起きて予定が変わっていくことが大変でした.文章書くことはあまり苦ではありませんでした.
取材をすると,その人が色々と思っていることをしゃべってくれるのでありがたかったですし楽しかったです(関連記事はこちら).あと,この間ポートフォリオ展の記事(詳しくはこちら)を書いたんですけど,この展示会に遊びに来てくれてた人にインタビューしたんです.知らない人としゃべる機会ができたのが楽しかったです.

西村さんー 私は[3]が大変だったと思います.このネタよさそうとか面白そうとかと思っても,文章に起こすと悩むことが多かったです.フォーマルではあるんだけどもフランクに書くことが今までなかったので,文章の書き方のテンションが最初は難しかったです.あと,記事に使えるいい写真がすでにあればいいんですけど,ゼミの記事(詳しくはこちら)のように手元に写真が無い時にけっこう苦労しました.
自分が作った記事のプレビュー数やランキングとかツイッターの反響とかをすぐに知れたり,自分が書いた記事がこういう反応されるんだと知れたのがすごい楽しかったです.あと,自分の研究テーマを決めて以降「ザ・建築」から少しズレた研究をしていたので,あまり建築学科・専攻にいる感覚が学部生の頃より薄れていたんです.そういう中で,京大建築のホームページを作る・京大建築の紹介記事を作る作業にかかわって,久々に他分野に進んだ同級生と話したりするのが楽しかったです.

鈴木さんー 私は[1][2]が大変でした.記事としてどういう内容のものが求められているかが最初はあまり分からなくて,記事を作るときに読者に興味をもってもらえるのかな不安で,いろいろ考えたりしてました.それと,写真とかもパッと見て興味を持ってもらえるよう選ぶのが難しいのと,この写真は載せていいのかとか考えるのが大変でした.
逆に[3]の文章に起こして記事を作るときが楽しかったです.ネタとしてはこれで大丈夫かとか伝わるのかとか悩んでいたんですけど,高校生とかが読んでくれていると思って書くときは楽しかったです.あと,自分が作った記事のツイートがリツイートされているのを見ると嬉しかったです.

ー 卒業論文を書いたことがある人は文章を書くことは慣れてると思いましたが,皆さんの作業の様子や記事を見ると,読んでもらう対象が違うので苦労していたようです.

西村奏香さん

ー 京大建築式HPの立ち上げや学生ライターの仕事など,初めての経験が多かったと思います.何か驚いたことや気づいたことはありますか?

浜辺さんー 自分が作った記事にあんなに反応があるとは思ってなかったので驚いてます.あと,どこ経由でHPや記事にアクセスしてるかが分かると知って,そういう時代になったんだなぁと思っています(笑).そういう情報をもとに記事の内容や書き方を考えるというのも面白いと思いました.

稲田さんー Twitterから京大建築式HPへのアクセスが多いことにまず驚いてます.あと,ライター紹介ページがよく見られているのを知ったのでさらに驚いてます.せっかくなので自分の紹介文を定期的に更新しようと思いました(笑).

西村さんー ネットでの情報が広まる速さを,自分たちも他人事じゃないんだと実感しました.あと,こちらから記事を発信してもそれで終わりじゃなくて,その記事の反響から今どんな記事が人気なのかとかどうやって見ているかとかを次の記事の発信につなげていくサイクルが面白いなと思いました.

稲本さんー 楽しかったことと話が被りますが,取材の過程でいろんな人に関わって,その人たちに色々な話を聞けたことがライターの仕事で驚いたことだと思います.

鈴木さんー これまで自分が見てたネットの記事のキャプションとか見出しとかは,パッと流してみてて気に留めてなかったんですが,この仕事を通してこうした物の大事さや難しさを感じて,今は「へ~こんな風に書いてるんや~」とか「これはちょっと微妙やな」とかを考える視点を持つようになりました(笑).

ー 順番に話を聞いていきましたが,皆さんの顔を見ると互いに共感することも多いみたいです.

学生ライター業務で大事にしていたことは?
鈴木保澄さん

ー 自分たちが記事を作っていくうえで大事だったなと思うことや重視していたことを教えてください.

浜辺さんー 重視していたことは,誰に伝えるのかを意識することでした.高校生とかが読んでも分かりやすいように書くようにしていました.大事だと思うことは,HPにアクセスしてもらって記事を見るときに,記事のタイトルとトップの写真で記事を読んでもらえるかが決まるということだと思います.

稲本さんー 記事を書こうと思うと,他のHPと内容や書き方がかぶってしまうことがあったので,何とか京大の学生が書いているからこそ学生目線の記事を作ることが大事だと思って重視してました.留学生のインタビュー記事などは他大学のHPにもあるので,それとの差別化を頑張りました.

稲田さんー 大事なのは,写真でいかに惹きつけるかだと思います.ただ,写真の知識があまりないので,写真の構図とかどういう写真が惹きつけるのかが学べるといいと思います.あと,自分の中で重視したことは,記事の締め切りを作ることだと思います.締め切りをちゃんと決めるようになってからはちゃんと取り組めるようになったので,大事かなと思います.

西村さんー みんなが言ったこと以外だと,記事を書くときに自分が面白いなと思うことだと思います.無理やり楽しむのは違うと思いますが,書いている人が面白いと思えば読んでる人も面白くみてくれるだろうと思うので,こういう書き方が大事かなと思いました.あと,私も締め切りが大事だなと感じました(笑).定期的に集まって顔を合わせるので,それまでにここまで進めようと考えれるので,私の中では大事かなと思います.

鈴木さんー:ほとんど皆さんと同じなんですが,HPの対象に高校生もいるということもあって,今高校生で建築に興味がある子も積極的に興味がない子もいるので,自分が高校生の時に何が知りたかったかや建築に関して抱いていたイメージを考えて,今高校生が知りたい情報や伝えたい情報を書くことが大事かなと思います.

来年以降の学生ライターに向けてメッセージ!

ー 最後に,応援のメッセージや学生ライターの魅力など,来年以降の学生ライターに向けて一言お願いします!

稲田さんー 知らない世界が見えるよ!ということを推したいと思います.自分とは違う研究室のことが知れますし,関わることがなさそうな社会人の人と関わったり,いい経験ができると思います.

西村さんー せっかく京大の建築にいるので ,自分の知っている京大建築のことを発信するよい機会だと思います.

鈴木さんー 卒業設計でも卒業論文でも,自分の専門分野に関して文章を書くことは大学院生の間にあると思うんですけど,広い範囲の人に向けてみてもらうことはないと思うので,そういう経験ができるいい機会だと思います.

浜辺さんー 普段やらないことにチャレンジしてみよう!だと思います.社会人になってHPを作ったり,他の企業の人と話をすることもあると思うので,この仕事をやっておいてもいいんじゃないかなと思います.もう一つは,自分の名前がHPに残るよということだと思います.自分の名前をネットで検索した時にこのHPの記事がヒットして,僕はすごくうれしかったです.

稲本さんー 読んでくれる人を意識しながら書く力が身に付くと思います.作った記事はHPに公開されるので,表現力とかが学べると思います.

ー  1年間学生ライターとして頑張ってくれてありがとうございました.いろいろ面白い話が聞けてよかったです!